私がはいふりアンチである理由

 1話だけ見てアンチになりました。

 ハイスクール・フリートというアニメはガルパンをパクった作品です。ガルパンで戦車だった部分を軍艦に置き換えた作品。それだけなら良かったんです。パクリでも面白くて合理的で完成度が高ければ良い。
 見るからにパクリですが、明確に異なる部分もあります。ガルパンは《戦車道は部活動であり競技である》という、死の匂いのしない世界観です。
 一方、はいふりは主人公たちに死の危険がふりかかる戦争の物語です。プロの軍艦乗りを養成するカリキュラムの高校の生徒が主人公であり、彼女らは演習中に思わぬ形で内乱の当事者になってしまいます。これだけ書くとオリジナル要素の優れた名作に見えますね。実際は酷いんですが。

 事件は演習中に起こります。突然、教官の乗る教官艦が主人公たちの乗る教育艦を砲撃して来ます。主人公たちが無線で対話を試みても、教官艦は全く聞き入れず攻撃を続けます。対話を諦めた主人公は魚雷を撃つことにより教官艦の動きを止めて逃げるという策でピンチを切り抜けます。
 教官艦のこの暴挙は、不測の事態に対応する判断力をつけるための訓練だったのでしょうか? 違います。なんと教官は、魚雷攻撃(正当防衛)を受けた事実を根拠に、「教育艦が反乱した」と軍に通報したのです。は? 何その展開。

 私は第1話を見終わった後にネットでネタバレ情報を探しました。それぐらいこの先の展開に不安を感じました。普通はネタバレなんか進んで見るものではないですが、先の展開がわからなければこの作品を信用できそうにありません。このアニメ、実は地雷なのでは……?
 推理小説においてどうしてネタバレが嫌われるか知ってますか? そもそもの前提として「作中の主要な謎には決着がつく」「超常現象を真相に使わない」等のお約束についての信頼があるからです。ホワイダニットものの推理小説で「南アメリカ脳線虫に寄生されて錯乱したから」というトンデモな真相になることは絶対ありません。不条理な展開になることはないという思い込みがあるからこそ先の展開を知らない方が楽しめます。
 教官が教え子を攻撃した上に反乱者の濡れ衣を着せるという超展開を合理的に解釈するなら、おそらく、教官本人に反乱を起こす意思があり、そのために教え子を利用したとかそんな真相があるのでしょう。私はそう予想しました。相当無理がありますが、それ以外合理的な真相が思いつきません。私は脇役に対しても以上のようなめんどくさいことを考えながらアニメを見ています。
 私の予想ははずれました。
 なんと! この世界には人に寄生して精神錯乱させるネズミ型オブジェクトが存在して、教官はそのオブジェクトに被曝したために教え子への攻撃を部下に指示したのです! なんだってー。こんな危険なオブジェクトが野放しになっているなんてS█P財団は何をやっているんだ……。

 私はこのアニメをゆるふわ軍事アニメだと思っていました。ゆるふわの部分が裏切られるとしても軍事アニメである部分を裏切られるとは思いませんでした。でも実際は生物災害系SFホラーだったのです。
 SFホラーを作りたいなら最初からオカルトファンタジーとして描くべきでしょう。某魔法少女が許されているのは魔法が存在する世界ならあれぐらいのことがあってもおかしくないからです。どんな手段を使っても視聴者の意表をつけばいいというものではない。
 あくまでこのアニメの趣旨は美少女が軍艦に乗って活躍することであり、SFホラー要素は舞台装置に過ぎないのでしょう。でもそれはそれで問題なんです。美少女を活躍させたいならもうちょっと自然にやってくれませんか? 美少女が活躍する御膳立てのためのSFホラー要素? そういうのご都合主義って言うんですよ。ガルパンはオカルトが無くても美少女が活躍しているのに、どうして、はいふりは同じことができないんですか?